先輩の声

看護師(認定看護師)

【急性・重症患者看護専門看護師】
 勝浪 優子

シームレスな(途切れのない)看護を目指して

大学卒業後、東京、兵庫などの病院勤務、京都の大学教員の経験を経て、2023年に入職しました。

病院勤務では、集中治療室だけでなく、呼吸器内科や消化器外科などの一般病棟でも勤務していました。これらの経験の中で、病棟間、部署間で患者さんの看護が途切れ途切れになっているのではないかと感じることがありました。

クリティカルケア(重症度や緊急度の高い治療)を受ける患者さんは、救急外来や手術室、集中治療室、一般病棟など一つの病院の中でも色々な部署を経て療養されます。場所が変われば、患者さんに関わるスタッフも変わります。しかし、そのような状況下でも、私は患者さんに対する看護はシームレスな(途切れのない)状態であるべきだと考えています。一般病棟も集中治療室も経験している私だからこそ、どちらの看護師の状況もわかりますし、看護師の相談に乗りつつ、患者さんの橋渡し役になれるのではないかと思い、専門看護師を目指しました。

専門看護師には、実践、調整、相談、倫理調整、教育、研究の6つの役割があります。私はこれらの役割を踏まえて、患者さんに沿った丁寧かつ的確な観察やケアができるよう心掛けています。また、他の看護師からの相談や、他部署からの相談にも迅速かつ正確な対応できるよう日々切磋琢磨しながら自己研鑽にも努めています。クリティカルケアを受ける患者さんは、挿管されていたり、鎮静薬で眠らされていたりして、治療計画に自分の意向を伝えられない方もたくさんいます。そのような時には、家族と相談し、患者さんならどうしてほしいのかを話し合い、医療者主導にならないような意識作りをし、医師など他職種を含めた話し合いができることを目標としています。

集中治療室に入室する患者さんは集中治療後症候群(PICS:post intensive care syndrome)という症状を表すことがあります。集中治療室にいた頃の記憶がない、退院しても悪夢を見る、なんとなく気分が落ち込んだり、体力が以前のように戻らない、などの症状です。重篤な状態で治療を受けることによって生じる現象ですが、集中治療室での環境や看護が影響を及ぼしていることもあります。そのようなことがなるべく起こらないように、もし起こっても適切に対応できるようにしていくことが、集中治療室で働く看護師の責務であると考えています。そのため、日々、集中治療室のスタッフと患者さんやその家族の対応について話し合ったり、病棟に引き継ぎをすることの大切さを伝えています。

患者さんが自分の意思を伝えられない状態でも、私たちが常に患者さんやその家族の代弁者(アドボケーター)となれるよう、患者さんや家族の一番身近な存在として支えていければいいなと思っています。