先輩の声

看護師(認定看護師)

【認知症看護認定看護師】 井上 桂子

「笑顔」を合言葉に

私は以前整形外科病棟で勤務している時、認知症の患者さんへの対応に困っていました。
その当時は、今ほど認知症が研修やテレビで取り上げられることも少なく、悩む日々でした。また、自分が余裕を持って対応することができていると患者さんは穏やかで、イライラしていると患者さんもイライラするというように、患者さんの態度が看護師の態度によって違うように感じ、どうして?と疑問に思うようになりました。そこで、認知症のことがわかれば悩みや疑問が解決できると考え、研修に参加するようになりました。
認知症のことを知ると自分の対応が変わり、患者さんの反応も違ってきました。それで悩みがすべて解決したわけではなく、もっと認知症のことを知って、看護を変えていかなければと思い、認知症看護認定看護師を目指しました。

2019年度から認知症看護認定看護師として専従勤務となりました。まだ日も浅く、毎日が試行錯誤の連続です。急性期病院では、認知症をもった人が入院されると、せん妄を発症しやすく治療が十分に行えないこともあります。 環境の違いから混乱もおき、大きな声で叫んだり泣いたりされる患者さんの側に寄り添うことしかできず、無力感に襲われることもあります。

私は群馬県で教育課程を受けました。 そこでは「笑顔」を合い言葉に共に教育課程を乗り越えた仲間が全国にいます。また、この病院には、分野は違えども苦労して現場の信頼を得てきた先輩認定看護師がたくさんいます。その方たちの背中を追いかけ、私も現場の信頼を得られるように努めていかないとと思いながら、日夜、業務に励んでいます。

合い言葉だった「笑顔」を胸に、常に、認知症を持った人ではなく、認知症をもった人として、その人らしさを尊重して、認知症の人が少しでも笑顔でいてもらえる看護を 認知症ケアチーム・認知症ケアリンクナース委員と一緒に目指していきたいと思っています。